配電盤よ、安らかに

85%フィクションと15%の今はもう失われたもの

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ごめんね もう二度とあえないような そんな気がして 運命が笑う

今、僕の家が燃えてるんだよ、と1月の寒い日の午後4時半にいきなり電話をかけてきた先輩は楽しそうに言った。私は何かの冗談かと思い、今日は空気が乾燥しているから実によく燃えそうですね、と答えた。先輩は、そうなんだよ、でも信じてないだろうお前、と…

笑いたがる人には、キスを

背筋を伸ばして生きる。 まだこの街に慣れていないから、最寄りのスーパーで醤油を売ってる場所を探すのに手間取る。本当は週末にまとめ買いしておけば効率がいいことは解っているけど、毎日その日に食べたいものを考えて食材を買うというシンプルな贅沢から…

目を閉じる度にあの日の言葉が消えてゆく

あの人のにおいをもう思い出せない、ということに気付いたのは、その年の10月の頭の日曜日に駅に向かって歩いてる時で、そこには金木犀の香りばかりが立ちこめてた。それは、最後にあの人と会ってから実に1年と2ヶ月後のことだった。この1年と2ヶ月は、記憶…

ただひとつ 今も思い出すよ

僕は君が好き、と言っている間だけ、孤独じゃ無くいられる気がする。僕は君が好き、僕は君が好き、そう口にするのが好き。 みんな、なんか、とっても優しいな。こんな僕なんかでも、好きって言ったら結構受け入れて貰える。 そんなこというけど君は誰のこと…

「愛はここに 神はあなたの中に」  そこで途切れてる

じゃあ、乾杯しましょう、と山内さんが言い、何に?と久野さんが言う。そうねえ、インターネットにかしらねえ、と山内さんが答える。それでは、インターネットに乾杯。33歳になって、15歳の頃からの知り合いと久しぶりに会うことへの不安は大きかったけれど…