配電盤よ、安らかに

85%フィクションと15%の今はもう失われたもの

エヴァQの話でもすっかね

観てきましたよ。
うーん、求めてたものと違ったんだけど、「この裏切られ感がエヴァだよね!」って思うべきなの?そんなドMになれないなぁ。

 

僕は結構、前作の破が、構成がしっかりしていてしっかりアクションシーンを見せるエンタメ作品としてできてたことを評価してたのね。1回目では何者にもなれなかったシンジくんの「綾波を…返せっ!」も、「大人のキスよ」で送り出すことしかできなかったミサトさんの「行きなさい!シンジ君!!誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために!」も評価していたのね。
だって、僕ら、14年も経つのよ。2回目をやるなら、進めるはずじゃない。You can advance であるべきなのだよ。暁美ほむらを見ろよ!

 

それが今回この状態なので…。

いや、もちろんそういうシンジくんの精神自体が一番問題なんだけど、一方で作り自体も破よりかは荒かった気がしたなぁ。ああいうエヴァンゲリオンらしい謎単語を連続する感じが好きだというのなら好みかもしれないけど…。カヲル君に関しては1回目もそうだったのでもうしかたがないといえばしかたがないのかもしれないんだけど、キャラとして不自然すぎるので、何故突然現れてシンジくんの心を掻っ攫っていくのかがよくわからない。一緒に行った人が、「カヲル君は、中二病の権化みたいになってたな…」と言ってた。まあそうだよねえ。


加えて、2回目ではあれだけの覚醒を果たしてたシンジくんが、「カヲル君が言ったから僕は槍を抜くんだよ!」っていう展開が僕を置いてけぼりにした。これは、同一の、本当に2回目のシンジくんなの…?1回目でもここまでの人の警告を無視した自爆行動って無かった気がするし、誰なの状態というか…。
アスカが「ガキシンジ」を繰り返すのが伏線(?)なんだろうけど。。
「アスカが『ガキシンジ』と言ったから、シンジは『ガキ』でいいじゃん!」という以上の説明が為されてないので置いてけぼりですよ。
本来的に言えば、シンジくんはバカシンジかもしれないけど、ガキシンジじゃなくなったから、2回目だったと思うんだよね。それがadvanceなんだよ。それが、戻ってしまった上に1回目とも違うキャラ造形な気がして混乱が…。こういうのは、作りの粗雑さの問題だと思う。もうちょっと、「どうしてガキ化したのか」を第三者が納得できるように説明できないと。

 

まあ、僕は序もイマイチだなと思っていたけど破は良かったと思ってるんで、次で巻き返す可能性はあると思ってる。けど、どうかなぁ、Qで今回これだけの謎バラマキ(それこそ「Q」だね)をしてしまったので、それを回収できるのかどうかはわからない。
ただ、どうやら次作でも終わらなそうな気配を感じたので、長期戦過ぎないですか?とは思っている。


今回「昔のシンジに似てる」と言われるシンジくんを観て思ったけど、僕もういい年になっちゃったのもあって14歳の激しいハートの揺れ動きの描写に徐々についていけんくなってるよ。ウェブ上で見かけた批評に、

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「14年」というのは、もちろん『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の公開が1997年であり、そこから14年経ったということと重ね合わせている(正確には15年経っているが)。
「14年間いろいろなことがあったのに、あんたは全然変わっていないじゃないか」という皮肉を突きつけている。

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というのがあったけど、僕、もう出来うる限り全力で14年間大人になってきた自覚があるからなぁ。僕からしてみれば、彼らだけ14歳のままでなんて、無くて良かった。あの頃、一緒に苦しかったあの子たちが、一緒に成長して、戦ってくれてたほうが良かった。それがビジュアル的にそれが問題があるのであれば、例えば身体は成長しないけど中身だけでも14年分年をとってる、とかだって良かった。(ちなみに、エヴァの呪縛っていうか、アスカは使徒とのキメラになったのかなと思いました。眼帯裏が青く光るし)

破とQの間にだって、僕結婚しちゃってるし、このあとラストまでの間に子供でもよしんば生まれちゃったら(次作で終わらないならその可能性は割とあ るんじゃねーの。完結まで3年くらいはかかるってことでしょ)そんな状態で、「父さんは、僕を認めてくれないんだ!エヴァになんて乗らないよ!」とか言っ てるのを、当時と同じ気持ちで見れるのか。

…無理だ。もし見れるなら、あまりにadvanceしてなさすぎるのよ。そして、言っとくけど、確実に我々は、You can not redo. の時間軸を生きているんだよ。

 

この、庵野の向いてる対象が「お前ら、14年間、何やってたんですか?」っていう人たちだということそのものがエヴァの対象層では僕がないってだけなんだけど。(あの1回目での「オタクよ、現実に帰れ」のメッセージも、『いや…、まあ、現実は現実でそれなりに大丈夫なんで…』って思ってしまったので、そもそもそれに耳が痛くなるコアターゲットではない)